反対解釈

 

 「18歳未満入場禁止」とあれば18歳以上は入場してもよい。「決議には全員の承認が必要」とあれば、一人でも反対すれば決議できないことになる。このような解釈の仕方を反対解釈という。法律の世界では、反対解釈は当然の論理である。

 しかし、同じことを日常生活でやると嫌われること請け合いである

「今日はきれいだね」。
(ふん、どうせ、いつもはブサイクだって言いたいんでしょ。)

「今日の服はよく似合っているよ」。
(いつもセンスのない服で悪かったわね。)

「おっ、なかなか良く気がつくじゃない」。
(いつもは気がつかなくてスミマセンね。)

 こういったせりふを樹木希林に言わせると抜群にうまいような気がする (笑)。人の言葉を悪い方に悪い方に受け取る人を「ひねくれている」というが、これでは人生は楽しくない。もっと人の言葉を素直に受け取りたい。

 ただし、政治家の言葉はそうではない。俗に「永田町言葉」というのがある。たとえば「消費税は当面は上げない」といえば、「いずれ上げると」いう意味だし、「検討します」と言えば「検討はするが、実行はしない」という意味である。また「過去に必ずしも聖人君子でなかった時代がある」といえば、暗に「かつて相当のワルだった時代があった」ということを言っている。

 民主主義は国民が賢いことを前提に初めてうまく機能する。永田町言葉の裏を読む知恵を身につける必要がある。
 

 

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